PINOWorld.com PINO
■News ■All About PINO ■Merchandise
■Communication ■PINO Diary ■Mail Magazine

Special Interview

モノ作りってのはすごく好きだったんだけど、やっぱり色んなことを考えて、考えてる事を形にするっていうのがおもしろいと思ってきたんです。

それで高校は、
当時東京で唯一、デザインを専門にした高校というのがあったんですよ。渋谷の方の高校だったんですけど、そこに行って高校3年間はもうデートもしなくって、行くところといえばもう学校のアトリエと銀座のITOYAと東急ハンズ。それで、ときどき秋葉原に行って…という青春時代で(笑)


とにかく色んなデザインの基礎を3年間ずいぶんやりましたよ。F4っていってね、ハガキ4枚分の大きさのスケッチブックがあるんですけど、そこに”ニボシ”をね、毎日、1日1個、描いていくんです。”ニボシ”をF4のスケッチブックいっぱいに描かなきゃいけない。あんな小さいものをハガキ4枚分の大きさのスケッチブックいっぱいに大きく描くっていうのは結構大変でね、ディテールをすっごく細かく見なくちゃいけないから(笑)。

あとは、絵画もやったし、彫刻なんかも一年間やりました。例えば”感動というものを手で表しなさい”っていう彫刻の課題があって、それでデッサンを描いて徹夜して作って電車に乗って学校に行くときに、網棚に乗っけてたら、急停車で網棚から落っこちて、提出するときグ−になっちゃったとか(笑)。



まあ、色々あったけどデザインばっかりの生活でしたね。大学でもデザインやったし、フランスにもデザインの留学をしましたし、パリでもずいぶんデザインでやってきましたし。

フランスでは、メディアートを専攻したんです。言葉の問題もいろいろあるだろうと思ったから、最初ソフトウェアはすごくがっちり勉強していったんですよね。コンピューターの授業やらインタラクションとかもやったんです。なんだけど、それで最初の授業に気合を入れて行ったら、最初の授業はヌードデッサンだったの(笑)。

なんでマルチメディアの勉強をしに来ているのにヌードデッサンなのかなと思ったら、”何をやるにも美の基本”なんだって。で、これはやっぱりパリというところは全然レベルが違うなと思った。


最初にヌードデッサンをやったときに、いや、さすがだなーって思ったのは、普通はね、僕らは鉛筆を大体12色くらい、黒だけで12パターンっていうのかな、F1から大体B10とかそれぐらい階調があるんですけど、それをもって行くんです。普通、あとは木炭とかね、いくんだけどさすが違ったのはね、何に描いてもいい、何を使ってもいい。

例えばカーテンをはがしてきて、そこにチューブをそのままかぶるやつとか、学校のダンボールに描くやつとか、自分の着ているシャツにそのまま描くやつとか、発送が全然違う。だけどそれがね、すごくショックだったから、すごくおもしろかったですよね。

それから行った初日にね、バイクが盗まれた(笑)。バイクを日本で売って、そのお金をキャッシュで持って、フランスに着いてフランにかえて、最初バイク屋さんにいっていろいろみていて、気にいったのがあって買ったんだけど、翌日の朝、起きたらなかった。

買った日の夕方だけはシャンゼリゼを走りましたけどね。バイクでダーッて、シャンゼリゼ通りを走って。で、翌朝見たら、ぐるぐるにチェーンで巻いといたのに、見たらチェーンがバラバラバラーってなってた(笑)。




一番デザインしてみたいっていうものはありますか

今一番、僕が力を入れているのは宇宙開発です。将来新婚旅行に行く人のための、月のホテルとかですね。それから、科学的な裏づけがあって研究してますけど、そういったときの車、月のクレーターの中で遊ぶ車です。
これはハニームーンカーっていうんだけど(笑)。

月の重力ってのは地球の1/6だから、空力の計算の方法が違って、カボチャの馬車みたくなっちゃうんだけど、ハニームーンカーは車といいつつ自立型ロボットなんですが、まあ二人でクレーターの中をぐるぐる回れるようなものとか、ホテルとか、色んなデザインを考えてます。

あとは、来年の頭から今度はグラフィックデザインの新しい提案をしようと思ってて、それは僕がまた勝手に作った名前で、”セルグラフィー”っていうシリーズをやろうと思ってるんです。


セルというのは分子です。毎月トレンドの遺伝子を研究室に行って、電子カメラとか顕微鏡を使って、カメラに撮る。

ようするに、僕らのロボットは工学的に人間を知るんだけど、遺伝子の中で行われていることっていうのは生命ですから、もっともっと僕らに身近なことなんですよ。

そういうのを、非常に大きくしてみる、顕微鏡で見たものを非常に大きくしてみるんです。真の姿というものは美しいんですよ。

今、色んなたんぱく質や遺伝子を見せてもらってるんですけど、それをグラフィックスにして、非常にオーソドックスに見せるんだけど、それを見せるまでのテクノロジーはすごいハイテクを使わないと見るに至らない。色んな顕微鏡とかを使って、最終的にはコンピューターで処理をして、それを大きいものにして見ようかなと思っています。それは僕らの知らない世界で行われている少し未来の姿を見ることができるんです。

そういったいわゆる、グラフィックデザインが持っていた、本来の役割、情報を伝えるっていうことをやろうかなぁと思っています。

そのシリーズを来年の頭から毎月つくろうかなと思ってて。研究者と密になっていないとやっぱり出来ないんで、まぁ、分子の関係の研究者と毎月色んなところにいって僕は写真をとって、それを毎月毎月大きい作品にしていこうかな、と思ってます。



近代デザインってね、「建築」、「工業デザイン」、「グラフィックデザイン」、この3つが発祥なんですよ。それを僕は一つずつ自分の中で自分なりの答えを出したいと思っているんです。

「建築」に対しては、重力の変わった空間の中でどういう建築がつくれるか、宇宙の建築がやりたいと思っています。

「工業デザイン」に対する僕の答えというのはロボットなので、ロボットデザインでやりたいですね。


それで「グラフィックデザイン」では、その”セルグラフィー”を使ったメッセージの伝え方ということをやりたいと思っています。

この3つは僕がデザイナーとして、デザインの歴史に挑戦するものだと思っているし、実際に動いてますよ。何が今やりたいっていうと、それをやるのが結構大変ですけど。



フラワー”っていうのが僕の中で大きなテーマなんです。事務所が「フラワーロボテックス」っていうんですけど、これはPINOを造っているときもそうだったんですけど、PINOも今はそうですけど、そんなに役に立つもんじゃないんですよね。

だけど、さっきもいったように生命を感じさせてくれり、直接的じゃなくて間接的に僕たちに役立っているっていうのは、例えば花もそうなんですよね。


その存在自体が役に立つんじゃなくって、それとインタラクションをしながら何かその存在を理解していくとかね、生命を感じるとかね、その普通の物ではなくって一つのインタラクションをしていくことで生命を感じるもの、それがロボットかなって思ってます。

デザインですからね、その空間の中にあって、やっぱり人の気持ちを和らげたりね、穏やかにしたり、時には色をつけてあげるとか、そういうことが出来るのが花の役割であり、ロボットであり。だからそれは僕は結構、同義かなって思ってる。

ニューヨークでね、アップルのi-macのバージョン2を発表するとき、たまたまニューヨークで見ていたんです。真っ暗い部屋で新しいi-macにパッ、パッってライトがついた。それを見ていて、テクノロジーも花になるんだなぁって思ったときに、このネーミングを思いたんです。

だから、花というのは、いつも僕の中ではキーワードなっています。



―これからPINOと出会う人たちへメッセージがあればお聞かせください。


PINOを見て、人間の可能性みたいなもの…たとえばPINOが歩いたりするのを見て、じゃあ二足歩行で歩いている僕たちは実は素晴らしい存在なんだな、とかね。人間の存在みたいなものを自分自身で感じてくれることが出来ると、非常に僕たちとしてもメッセージが伝わったかなと思います。

あとはただ単純に僕が子供のときにロボットのアニメとか映画とか見てあこがれたように、PINOを見て、じゃあ僕も将来ロボットの博士になろうという人がね、一人でも出てきてくれれば、それは僕らはロボット界にいい貢献をしたなって思います。